文系出身者の建築構造計算 GenS Weblog

建築構造計算に関する情報 と 文系出身のGenSが極めて私見を綴ったWeblogです。たまに趣味ネタも書いてます。


余耐力法

昨日,実に20年ぶりに懐かしい方と再会しました。

先週お電話をいただいて大変驚きました。
初めてお会いしたのが,前職のソフトベンダーに勤めてすぐに担当営業としてご挨拶に伺ったときですから,25年も前のことになります。
それから5年ほど担当させていただきましたが,その後営業から別部署に転属して以来お会いする機会がなかったので,やっぱり20年ぶりの再会です。

仕事の打ち合わせ以外にも昔話に花が咲き,すっかり長居してしまいました。とってもお元気そうで,仕事も大変忙しいご様子で安心しました。

実は,その帰り道に私の人生の師匠ともいうべき方にご挨拶に寄ったときのことです。

ご挨拶も程ほどに師匠から「余耐力法って知ってるか?」と尋ねられて,「はっ?何ですか?」って聞き返したら,資料を渡されて「しっかり勉強しとけ!」と叱られました(苦笑)。

今日,仕事の合間に斜め読みしてますが,「○○法」というほどのことではなくて,保有水平耐力計算を非線形荷重漸増解析で行う場合の問題点を改善するためのひとつの方策のように感じました。

保有水平耐力計算は,降伏機構の保証が大前提であることは言うまでもありません。それは法や告示や指針や規準に要求されなくても当然のことことです。

振動解析だって非線形荷重漸増解析によるスケルトンカーブを元に復元力特性の設定しているんですから,降伏機構が不明確な場合は応答結果の精度など期待できません。

斜め読みだけで余耐力法を語ることは甚だ不謹慎で稚拙な行為かもしれませんが,本質的な意味は,81年の新耐震設計法以降,何一つ変わっていないと思います。

「DS値とはなんぞや?」

この問いに対する答えを持ってさえいれば,降伏機構を保証する具体的な手法は,構造技術者に委ねられていいはずです。

にも関わらず,この不景気なときに手枷足枷のように新たな設計手法で雁字搦めに縛られるのは,構造技術者がお上や研究者から信用されていない証拠だと思います。姉歯事件が余計にその傾向を強めました。

しかし,お上のすることに不平不満を言っても始まりません。私たち現場の人間も,深く考えなくても電算機を利用してそれなりの結果が得られますから,本質的な意味を考えなかったという事実は否めません。

私は,余耐力法の勉強の前に,今一度「建築耐震設計における保有耐力と変形性能」を読み返したいと思います。

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