誰にでもわかる建築物の構造的性能
今朝新聞を読んでいて,高松宮殿下記念世界文化賞を受賞された伊藤豊雄さんの記事を見て,「せんだいメディアテーク」を思い出しました。
伊藤氏にも構造設計された佐々木睦朗氏にも面識はありませんが,せんだいメディアテークとの面識?はあります(笑)。
たぶん8年くらい前のことだと思います。
地元の構造技術者の方々の集まりがあって,限界耐力計算に関する勉強会に呼ばれて行ったんです。開催場所を聞いて「ハイっ!行きます!」って返事した記憶があります。
せんだいメディアテークへ入り,エスカレータを昇って,床に一歩足を踏み入れた瞬間,靴底を通して足の裏に伝わる微かな振動で「床が極めて薄い板で出来ている」と感じました。
伊藤氏にも構造設計された佐々木睦朗氏にも面識はありませんが,せんだいメディアテークとの面識?はあります(笑)。
たぶん8年くらい前のことだと思います。
地元の構造技術者の方々の集まりがあって,限界耐力計算に関する勉強会に呼ばれて行ったんです。開催場所を聞いて「ハイっ!行きます!」って返事した記憶があります。
せんだいメディアテークへ入り,エスカレータを昇って,床に一歩足を踏み入れた瞬間,靴底を通して足の裏に伝わる微かな振動で「床が極めて薄い板で出来ている」と感じました。
工学的にはまさに振動現象なんでしょうが,誰にでもわかる表現で云えば,床がカチっとしていなくて少し軟らかい感じ,もしくはフワフワしてる感じですかね。
私が思う「誰にでもわかる建築物の構造的性能」とは,歩行振動です。
耐震安全性能なんて地震に遭遇しない限り体感しようもありませんが,歩行振動は個人差はあるものの,大人から子供まで老若男女が感じることの出来る構造の性能だと思います。
私は特に,歩くと揺れる床が嫌いです。
如何に優れたデザインで構造美に溢れた建築物でも,人が歩くだけで揺れるようでは,百年の恋も冷めるというものです。
私は,決して伊藤先生の作品を貶すつもりも,佐々木先生の仕事にケチを付ける気もありません。
あの薄く軽い床板の実現に造船技術を応用するなど,設計・施工ともに多大な労力がかかっています。
柱あるいは壁で梁に拘束された床を支えるという,一般の概念を覆した素晴らしい建築物だと思います。
だからこそ,私は「惜しい」と感じたんです。
続けて思い出したのが,地元奈良のJR奈良駅前に建つ「奈良100年会館」です。私がマーチングにどっぷりとはまるキッカケとなった場所です。
ちょうど10年前に長女のマーチングをステージ全体が見渡せる二階席から観て,それまで「たたでさえ小学生には難しいラッパ演奏を激しく動きながらさせるのか?」と,顧問の先生に対して疑念を抱いていた私が,「娘らはこんなにも芸術性の高いことをしていたのか!」と感動し,一気にマーチングの魅力に憑り付かれた思い出深い場所です。
磯崎新氏のデザインで,構造設計は川口衛先生です。
100年会館はプレストレストコンクリート造(PC造)ですから,一歩足を踏み入れただけで揺れはしません。仕上げをしていないプレキャスト部材は,実に美しい肌で惚れ惚れするほどです。使い勝手の悪さも空調の悪さもこの際目をつむりましょう(笑)。
しかし,可動式の二階席の激しい揺れだけは論外です!あれは酷い。
鑑賞の邪魔にならない配慮か手摺も低く,歩いて降りようとすると揺れと相まって転げ落ちそうで怖い怖い。
思い出の場所ではありますが,「これは許せない!」という思いが胸にずっとあったので,東京で川口先生にはお会いした際に,思わず文句を言ってしまいましたよ。これまた酒の席で酔っ払った勢いではありましたが・・・。
続けて,朱鷺メッセの連絡橋崩落事故のことが思い出されました。
施工ミスもなく崩落していなければ,歩行振動はなかったのかなぁ?と。
でも,私は崩落現場で行われたPC床板の強度試験にも立ち会ってますので,話せば長くなりそうです。またの機会にしたいと思います。
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私が思う「誰にでもわかる建築物の構造的性能」とは,歩行振動です。
耐震安全性能なんて地震に遭遇しない限り体感しようもありませんが,歩行振動は個人差はあるものの,大人から子供まで老若男女が感じることの出来る構造の性能だと思います。
私は特に,歩くと揺れる床が嫌いです。
如何に優れたデザインで構造美に溢れた建築物でも,人が歩くだけで揺れるようでは,百年の恋も冷めるというものです。
私は,決して伊藤先生の作品を貶すつもりも,佐々木先生の仕事にケチを付ける気もありません。
あの薄く軽い床板の実現に造船技術を応用するなど,設計・施工ともに多大な労力がかかっています。
柱あるいは壁で梁に拘束された床を支えるという,一般の概念を覆した素晴らしい建築物だと思います。
だからこそ,私は「惜しい」と感じたんです。
続けて思い出したのが,地元奈良のJR奈良駅前に建つ「奈良100年会館」です。私がマーチングにどっぷりとはまるキッカケとなった場所です。
ちょうど10年前に長女のマーチングをステージ全体が見渡せる二階席から観て,それまで「たたでさえ小学生には難しいラッパ演奏を激しく動きながらさせるのか?」と,顧問の先生に対して疑念を抱いていた私が,「娘らはこんなにも芸術性の高いことをしていたのか!」と感動し,一気にマーチングの魅力に憑り付かれた思い出深い場所です。
磯崎新氏のデザインで,構造設計は川口衛先生です。
100年会館はプレストレストコンクリート造(PC造)ですから,一歩足を踏み入れただけで揺れはしません。仕上げをしていないプレキャスト部材は,実に美しい肌で惚れ惚れするほどです。使い勝手の悪さも空調の悪さもこの際目をつむりましょう(笑)。
しかし,可動式の二階席の激しい揺れだけは論外です!あれは酷い。
鑑賞の邪魔にならない配慮か手摺も低く,歩いて降りようとすると揺れと相まって転げ落ちそうで怖い怖い。
思い出の場所ではありますが,「これは許せない!」という思いが胸にずっとあったので,東京で川口先生にはお会いした際に,思わず文句を言ってしまいましたよ。これまた酒の席で酔っ払った勢いではありましたが・・・。
続けて,朱鷺メッセの連絡橋崩落事故のことが思い出されました。
施工ミスもなく崩落していなければ,歩行振動はなかったのかなぁ?と。
でも,私は崩落現場で行われたPC床板の強度試験にも立ち会ってますので,話せば長くなりそうです。またの機会にしたいと思います。
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