捩れ振動解析
今年最初で最後となるであろう免震建築物の捩れを考慮した時刻歴応答解析を行いました。
高さこそありませんが,免震材料の数は三桁ありますので,平面的には結構な規模です。しかも,上部構造の平面的な剛性バランスは決して良好とは言えません。偏心率で言えば0.15を満足していません。
設計は並進解析結果を用いてお客様の方で進められており,ほぼ終了したような状況です。
「設計の終盤に捩れ振動なんかやって,もし捩れたらどうするの?」って声はありませんよね(笑)。
たとえ上部構造がどんな状態だろうが,捩れることは絶対ありませんから。もしあるとすれば,私がどこか間違った計算をしていることになります。だから最初から何も心配などしません。
高さこそありませんが,免震材料の数は三桁ありますので,平面的には結構な規模です。しかも,上部構造の平面的な剛性バランスは決して良好とは言えません。偏心率で言えば0.15を満足していません。
設計は並進解析結果を用いてお客様の方で進められており,ほぼ終了したような状況です。
「設計の終盤に捩れ振動なんかやって,もし捩れたらどうするの?」って声はありませんよね(笑)。
たとえ上部構造がどんな状態だろうが,捩れることは絶対ありませんから。もしあるとすれば,私がどこか間違った計算をしていることになります。だから最初から何も心配などしません。
ここでの絶対の意味は,実際の建物が本当に絶対捩れないという意味ではなく,現状の解析レベルでは,偏心率を微少値に抑えていれば,それを動的に確かめても捩れる様な結果にはなりえないという意味です。
今回は弾性すべり支承のようなすべり系の材料を用いていないため,まだ安心感がありますが,すべり支承ではPTFE板に作用する軸方向力に摩擦係数μを乗じた値が降伏荷重になりますから,明らかに強い面圧依存性があるわけです。
それに,いかに軸力変動の少ない内柱といえども実際には軸力は変動しますし,μにもばらつきがあります。だから,同材料でも降伏荷重はばらばらで,滑り出しのタイミングもバラバラというのが実情でしょう。
しかし,質点系での応答解析では,長期軸力にμを乗じた値を降伏荷重とし,応答解析の間にその復元力特性がまったく変化しない解析が一般的でしょう。
また,積層ゴム支承の歪み依存性は考慮しても面圧依存性はないものとしているはずです。でも実際には面圧依存性がまったくないわけではありません。少なからず実情と解析モデルとは異なります。
でもそんなことばかり考えていると,「質点系じゃなく立体フレームモデルでなきゃ駄目だ!」とか,「振動解析ってそんなレベルなのか?」といった声もあがりそうですが,私は下手に部材レベルの応答解析に手を出すことはよくないと考えています。
もちろん私なんかと違って優秀な方がこの業界には沢山いらっしゃいますから,部材レベルの応答結果でもきちんと検証できるのかもしれません。
でも,私には到底無理なことです。どこか入力ミスをして間違った計算をしても,もはやデバッグはできません。それにプログラムが複雑になるとバグを内包する可能性も高くなりますから,いかに正しく解析データを作成しても,内在するバグを発見することは至難の業だと思うんです。
私には,どこか運を天に任せるようなものに感じられます。もう手に負えない領域ですね。
既にSS3に代表されるような一貫構造計算プログラムもそうかもしれません。内部はブラックボックス化していて,処理内容の全容を把握する使用者はいないはずです。
構造設計者は自分の設計に責任を持つべき立場だから,決して自分の手に負えない計算はしてはいけないと思います。
“本当のことが知りたい”
その探究心が人の技術を成長させてきました。プログラムも進化しました。
しかし,設計者は決してプログラムオペレーターではないから,出来るだけシンプルかつ簡便な方法で計算が出来て,その結果を眺めて複雑な実現象を人が占うべきたと思います。
誤解を恐れず敢えて言えば,
設計は頭の中や簡単な手計算程度で完結していて,それを第三者に示すために複雑な電算機を使って凝った計算と小難しい計算書にまとめる感じですかね。
頭の悪いプログラムの結果なんて適当に弄って都合よく変えてしまって全然構わないと思います。
元プログラム屋で部材レベルの振動解析プログラムも開発していたくせに,と自分でも思いますが,プログラムの答えなんかを信用して設計するから間違いが起こるんだと思います。
先に答えがあって,その答えに近い結果を電算機が弾き出したら,「ちゃんと計算できた」と判断すべきだと思います。
耐震偽装事件以降,電算機の答えが正で,それを下手に弄るとすべて“偽装”かのような風潮となり,設計者の自由が奪われてしまったことが悔やまれます。
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今回は弾性すべり支承のようなすべり系の材料を用いていないため,まだ安心感がありますが,すべり支承ではPTFE板に作用する軸方向力に摩擦係数μを乗じた値が降伏荷重になりますから,明らかに強い面圧依存性があるわけです。
それに,いかに軸力変動の少ない内柱といえども実際には軸力は変動しますし,μにもばらつきがあります。だから,同材料でも降伏荷重はばらばらで,滑り出しのタイミングもバラバラというのが実情でしょう。
しかし,質点系での応答解析では,長期軸力にμを乗じた値を降伏荷重とし,応答解析の間にその復元力特性がまったく変化しない解析が一般的でしょう。
また,積層ゴム支承の歪み依存性は考慮しても面圧依存性はないものとしているはずです。でも実際には面圧依存性がまったくないわけではありません。少なからず実情と解析モデルとは異なります。
でもそんなことばかり考えていると,「質点系じゃなく立体フレームモデルでなきゃ駄目だ!」とか,「振動解析ってそんなレベルなのか?」といった声もあがりそうですが,私は下手に部材レベルの応答解析に手を出すことはよくないと考えています。
もちろん私なんかと違って優秀な方がこの業界には沢山いらっしゃいますから,部材レベルの応答結果でもきちんと検証できるのかもしれません。
でも,私には到底無理なことです。どこか入力ミスをして間違った計算をしても,もはやデバッグはできません。それにプログラムが複雑になるとバグを内包する可能性も高くなりますから,いかに正しく解析データを作成しても,内在するバグを発見することは至難の業だと思うんです。
私には,どこか運を天に任せるようなものに感じられます。もう手に負えない領域ですね。
既にSS3に代表されるような一貫構造計算プログラムもそうかもしれません。内部はブラックボックス化していて,処理内容の全容を把握する使用者はいないはずです。
構造設計者は自分の設計に責任を持つべき立場だから,決して自分の手に負えない計算はしてはいけないと思います。
“本当のことが知りたい”
その探究心が人の技術を成長させてきました。プログラムも進化しました。
しかし,設計者は決してプログラムオペレーターではないから,出来るだけシンプルかつ簡便な方法で計算が出来て,その結果を眺めて複雑な実現象を人が占うべきたと思います。
誤解を恐れず敢えて言えば,
設計は頭の中や簡単な手計算程度で完結していて,それを第三者に示すために複雑な電算機を使って凝った計算と小難しい計算書にまとめる感じですかね。
頭の悪いプログラムの結果なんて適当に弄って都合よく変えてしまって全然構わないと思います。
元プログラム屋で部材レベルの振動解析プログラムも開発していたくせに,と自分でも思いますが,プログラムの答えなんかを信用して設計するから間違いが起こるんだと思います。
先に答えがあって,その答えに近い結果を電算機が弾き出したら,「ちゃんと計算できた」と判断すべきだと思います。
耐震偽装事件以降,電算機の答えが正で,それを下手に弄るとすべて“偽装”かのような風潮となり,設計者の自由が奪われてしまったことが悔やまれます。
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