朱鷺メッセ連絡橋崩落事故に関する私見
- プレストレストコンクリート
- by GenS
- 2010/10/30 土 13:05
これから述べることは,私が体験した事実に基づいておりますが,すべてGenSの私見であり想像の域を出ません。予めお断りしておきます。
前のブログでも少し触れましたが,私はSDGが独自に2004年6月10日に崩落現場で行った現地試験の状況をこの目で見ています。
定着部の耐力不足(ひび割れ耐力40tf,破壊耐力65tf)とする事故調査委員会の報告に対して,この日の試験は「原因は定着部の耐力不足なんかじゃない!」と,証明しようとしたSDG側の抵抗だったと思います。
前のブログでも少し触れましたが,私はSDGが独自に2004年6月10日に崩落現場で行った現地試験の状況をこの目で見ています。
定着部の耐力不足(ひび割れ耐力40tf,破壊耐力65tf)とする事故調査委員会の報告に対して,この日の試験は「原因は定着部の耐力不足なんかじゃない!」と,証明しようとしたSDG側の抵抗だったと思います。
結果は私の予想通り,95tfを超えても僅かなクラックが認められるだけで破壊しませんでした。PC専業者である黒沢がそんな柔なPC床板を作るはずはありません。
あれから随分時間が経ちましたが,私の目には新潟県が早々に事故の当事者から被害者へ身を翻し,相手は黒沢でも地元ゼネコンでSDGでも誰でもいいから訴えて,取れるところから金を取って事故の幕引きを図りたいという「役人の保身」にしか見えません。
あの日,現地に来られていたSDGのOBである徐光氏(JSD)が,唇を噛み締めて「真実が明らかにならないことが悔しい」と仰られた姿が忘れられません。
その後,東京でASDO主催のセミナーがあり,SDGの渡辺氏自身が事故のことについて話されましたが,セミナー後の懇親会で渡辺氏の口からは,真実が明らかになるまで徹底的に戦うという意気込みとともに,予定していた仕事が次々にキャンセルになるなど,既に相当な社会的制裁を受けているという事実が伝わってきました。もうひとつはJSCAに対する相当な失望感ですね。
ソフト会社の一営業マンの私には何の力もありませんので,「陰ながら応援しております」というのが精一杯でした。
未だ裁判で競争中で決着はついていませんが,ここで過去の事故事例とともに原因を考えてみます。
特筆すべきことは,地震でも風でも積雪でもなく,もちろん過積載でもなく自重で崩落したという事実です。
普通に考えれば,長期荷重で崩落するのは不静定次数の小さい鉄骨造で,過積載が原因になることがほとんどだと思います。
RCの崩落事故は,支保工の耐力不足とか,大スパンの屋根を架ける際に,設計上スラストが正しく評価されていなかったという設計ミスがあったくらいで,いずれも施工中の事故です。
少なくとも完成後に過積載でもなく崩落した事例はないはずです。
私の思う結論を言えば,「PS(プレストレス)ありきで設計した構造物を,PSをよく知らない業者が施工したから」ということです。
1.保険ではなく,PSなしでは自重も支えられない構造であったこと
2.なのに,PS導入に関する現場管理が徹底されていなかったこと
構造的には,PSを導入した鉄骨トラス構造でPC床板を引っ張り上げる形式ですが,PS導入後はじめて所定の耐力を発揮し構造的に安定する形式です。そこが明らかに多くの鉄骨トラス橋と決定的に異なります。
ならば,PS導入とジャッキダウンのタイミングは,PSを知り尽くした会社・人間が管理に立会い判断すべきです。
いわば,場所打ちRCの施工現場でコンクリート打設後,強度発現する前に支保工を外したら崩れたというようなものです。
事故後,色々な資料を目にしました。
やはり,私の思う原因は施工現場にあったと考えています。
しかし,SDG側に何の落ち度もなかったとは思いません。
確かにプレストレストコンクリートは優れた技術です。
だだし,万一PSが抜け落ちても自重くらいは辛うじて支持できる構造にすべきだったんではないでしょうか。
あの連絡橋は極めてスレンダーで美しいものでした。それはPS技術があってものもです。
もし普通の鉄骨橋ならばもっとゴツイものになったはずですし,48mスパンもなかったでしょう。
やはり,弘法も筆の誤りというか,驕りがあったんではないでしょうか。
PS技術に縁遠い普通の設計事務所が設計すれば,あれほど美しくはないかもしれないけど,間違いなく崩落するような橋は出来なかったと思います。
他にはない高い技術力がかえって仇になった気がします。
それに,事故がなっかたとしても,骨材量の少ないロングスパンの橋ですから,結構長周期の気持ち悪い歩行振動があったんではないでしょうか。今となっては確かめようもありませんが・・・
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あれから随分時間が経ちましたが,私の目には新潟県が早々に事故の当事者から被害者へ身を翻し,相手は黒沢でも地元ゼネコンでSDGでも誰でもいいから訴えて,取れるところから金を取って事故の幕引きを図りたいという「役人の保身」にしか見えません。
あの日,現地に来られていたSDGのOBである徐光氏(JSD)が,唇を噛み締めて「真実が明らかにならないことが悔しい」と仰られた姿が忘れられません。
その後,東京でASDO主催のセミナーがあり,SDGの渡辺氏自身が事故のことについて話されましたが,セミナー後の懇親会で渡辺氏の口からは,真実が明らかになるまで徹底的に戦うという意気込みとともに,予定していた仕事が次々にキャンセルになるなど,既に相当な社会的制裁を受けているという事実が伝わってきました。もうひとつはJSCAに対する相当な失望感ですね。
ソフト会社の一営業マンの私には何の力もありませんので,「陰ながら応援しております」というのが精一杯でした。
未だ裁判で競争中で決着はついていませんが,ここで過去の事故事例とともに原因を考えてみます。
特筆すべきことは,地震でも風でも積雪でもなく,もちろん過積載でもなく自重で崩落したという事実です。
普通に考えれば,長期荷重で崩落するのは不静定次数の小さい鉄骨造で,過積載が原因になることがほとんどだと思います。
RCの崩落事故は,支保工の耐力不足とか,大スパンの屋根を架ける際に,設計上スラストが正しく評価されていなかったという設計ミスがあったくらいで,いずれも施工中の事故です。
少なくとも完成後に過積載でもなく崩落した事例はないはずです。
私の思う結論を言えば,「PS(プレストレス)ありきで設計した構造物を,PSをよく知らない業者が施工したから」ということです。
1.保険ではなく,PSなしでは自重も支えられない構造であったこと
2.なのに,PS導入に関する現場管理が徹底されていなかったこと
構造的には,PSを導入した鉄骨トラス構造でPC床板を引っ張り上げる形式ですが,PS導入後はじめて所定の耐力を発揮し構造的に安定する形式です。そこが明らかに多くの鉄骨トラス橋と決定的に異なります。
ならば,PS導入とジャッキダウンのタイミングは,PSを知り尽くした会社・人間が管理に立会い判断すべきです。
いわば,場所打ちRCの施工現場でコンクリート打設後,強度発現する前に支保工を外したら崩れたというようなものです。
事故後,色々な資料を目にしました。
やはり,私の思う原因は施工現場にあったと考えています。
しかし,SDG側に何の落ち度もなかったとは思いません。
確かにプレストレストコンクリートは優れた技術です。
だだし,万一PSが抜け落ちても自重くらいは辛うじて支持できる構造にすべきだったんではないでしょうか。
あの連絡橋は極めてスレンダーで美しいものでした。それはPS技術があってものもです。
もし普通の鉄骨橋ならばもっとゴツイものになったはずですし,48mスパンもなかったでしょう。
やはり,弘法も筆の誤りというか,驕りがあったんではないでしょうか。
PS技術に縁遠い普通の設計事務所が設計すれば,あれほど美しくはないかもしれないけど,間違いなく崩落するような橋は出来なかったと思います。
他にはない高い技術力がかえって仇になった気がします。
それに,事故がなっかたとしても,骨材量の少ないロングスパンの橋ですから,結構長周期の気持ち悪い歩行振動があったんではないでしょうか。今となっては確かめようもありませんが・・・
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